鳥を記す

はじめまして。さいたま市とその周辺で、野鳥を中心とした自然観察を楽しんでいます。おもに鳥についてのブログになると思いますが、鳥の写真はありません。風景と植物だけです。

もしかしたら…

   数年前、さいたま市に引っ越してきたばかりの頃です。季節は早春。歩いていける範囲に鳥見に良い場所はないかと、近所をうろついていました。そして、家から徒歩10分ほどで行ける小さな緑地を見つけました。おなじみのカラ類にシロハラやらシメやら、けっこう鳥がいます。それらの小鳥類を見ていると、いきなり高らかに「キッキッキッキッ!」 うわっ! オオタカだ! 猛禽だよ! 希少種だよ(今のところ)! さらに、その声に答えるように「ピャー」という声。 以前、他県でオオタカの営巣調査をしたことがあるので、これらの声には聞きおぼえがありました。この鳴き合いは♂と♀。この季節に鳴き合うということは…心がときめきました。自宅の近所でオオタカの営巣! 友人が自宅マンションの屋上に居着いたハヤブサを「マイ・ハヤブサ」と呼んでいましたが、これは「マイ・オオタカ」。マイ・オオタカのいる暮らし…いいなぁ…

 いろいろ妄想を膨らませている間も、♂♀の鳴き合いは続いていました。それも比較的近くで…あれ?なんか変だな? あまりにも近いぞ…近すぎる、ていうか、すぐそこの草むらから聞こえてくるけど…オオタカって、地面に降りて鳴き合うかな? ケガでもしていて飛べないのかな? だったら何とかしなくては…何しろ希少種(今のところ)だし…いろいろ考えつつ一歩足を踏み出したところ…

 「ジャァ」「ジェー」とダミ声を上げて、草むらから飛び出した2,3羽。 カケスでした。オオタカの♂♀の鳴き合いをまねしていたのです。そのフワフワとした飛び方が「ドヤ顔」ならぬ「ドヤ飛び」というか…思いっきりバカにされた気がしました。

何が「マイ・オオタカのいる暮らし」だ!バッカみたい!!あ~恥ずかしい、あ~悔しいっっっ!!!

 私のように、カケスの物まねにだまされた経験のあるバードウォッチャーも多いのではないでしょうか。奴らは物まねがうまいだけではありません。シチュエーションまで考えているようなのです。…つまり、その時季・その場所にいても不自然ではない鳥のまねをするのです。実に巧妙な手口です。「だまされる方が悪い」「自分だけは大丈夫」などと思ってはいけません。十分、注意しましょう。

  ところで最近、オオタカが増えたから「国内希少野生動物種」の指定を解除しようという話が進んでいるようです。オオタカが増えたという根拠の一つは、その情報が増えたからだと思いますが、その中には、声を聞いたという情報もあるのではないでしょうか? それらの情報の中には、もしかしたら…

竹竿にコゲラ

 コゲラの話の続きです。電柱はさすがに利用できないとは思いますが、コゲラが竹竿をドラミングに利用しているのを観察したことがあります。数年前のことです。

   その竹竿は、遊歩道の街路樹の支えとして使われているものでした。そこに1羽のコゲラがとまりました。「あのね、その中は空っぽなの。虫とか、いないから」とつぶやきながら見ていたら、竹竿を軽くひと突き。「コーン」と、実にいい音がします。空洞だからよく響くのでしょう。このコゲラも、電柱に来たコゲラ同様、ひと突きの後、一瞬フリーズしていました。突いた感覚から、食べ物がありそうだとか巣によさそうだとか、何らかの判断をしているのかもしれません。もう一度、確かめるように突いて「コーン」。このときは3、4回「コーン」という音を立てたところで、背後の観客に気づいたのか、飛び去ってゆきました。ドラミングのような連続突きはしませんでした。

 2,3日後、同じ場所で。 例の竹竿に1羽のコゲラがびったりと張り付き、「トロロロロ…」とドラミングをやっているのです! その響きのきれいなこと! さすがに大型キツツキのドラミングには及びませんが、コゲラのドラミングとしては音量も大きく見事でした。

   このコゲラが、この前、竹竿を突いていたのと同じ個体かどうか判りませんが、もし同じ個体だとしたら…ひと突きしてみた→ どうも食べ物は無さそうだが、ん!?この音は!?→ もしかして、これでドラミングやったら、やばくね!? と気づいて、竹竿でドラミングをしていたのなら面白いのですが…しかしその後、今日に至るまで、竹竿ドラミングをしているコゲラを他に見ていません。見事だと思ったのは人間だけで、コゲラの中では評判悪かったのかも…

   コゲラという鳥は、ちょっと気になる“木”状の物体があると、とりあえず突いてみるのでしょう。突いてみて、ちょっと考えて(?)、食べ物がありそうとか巣によさそうとか、さらにはドラミングによさそうとか、判断しているのかもしれません。次は、何を突いているところに会えるのか…楽しみです。

電柱にコゲラ

 朝、ゴミ集積所からの帰り、「ギィ」とひと鳴きしてコゲラが1羽、頭上を通り過ぎました。先日、近所の奥様が「うちの庭に初めてコゲラが来たのよ!」と喜んでいたけれど、今日は誰の庭に行くのかな?と見ていたら…ピタッと貼りつくように電柱にとまりました。そんな所に貼りついて、どうするつもり? すると、ス・ス・スと上方へ移動し、軽く電柱をつついて、一瞬フリーズ。さすがに、ちょっと変だなと思ったのでしょう。しかし飛び立つことなく、さらに上へ。まだ、この“木”に執着するつもりらしい。またフリーズ。さらに上へ。またフリーズ。その時、別の場所で「ギィ」。おそらく仲間が「バーカ」とか言ったのでしょう。そのひと声で未練がふっ切れたらしく、声のする方へ飛び去って行きました。

 コゲラに限らず、鳥は時々、意味不明な行動をしますね。訳も分からずにいろいろやってみて、彼らなりに発見をすることがあるのでしょう。それが、よい結果に結びつくことだと、彼らなりのコミュニケーションでだんだん広がってゆき、新しい習性になることがあるのかな? 最初に1匹の子ザルが食べ物を洗い始めたのが広がり、群れ全体の習性になった、という話を聞いたことがありますが、鳥でもそういうことがあっても不思議ではないな、と思います。

 それにしても…木製ならともかく、コンクリートの電柱は…いつまでたっても、コゲラが利用するようにはならないと思う…

レンジャクの声

3月16日の続き: レンジャクを観察中、時々「ヒー、ヒー」という小さな細い声が聞こえました。「チリチリチリ」と小さな鈴を振るような声も聞こえました。一度、すぐ目の前の枝に来たヒレンジャクは、この鈴のような声を出しながら飛んできました。

  そういえば、高野伸二さんの著書『野鳥識別ハンドブック』(日本野鳥の会 1980年)に、レンジャクの声について書いてあったな、と思いだし、帰宅後、この本を開いてみると…235ページのキレンジャクの項に、以下のように書いてありました。「シリシリシリ、またはチリチリチリと聞こえる細い声で鳴き合う…(略)…ヒーヒーという声を出すと書いてある本もあるが…」 …長くなるので、まとめますが 高野さんは、キレンジャクだけの大群の観察中に「ヒー、ヒー」を聞いたことが一度もない、また、この声を聞いた時には必ず、ヒレンジャクがまじっていた、という経験から、「キレンジャクがヒーという声を出すということに、私は疑問を持っている。」と書いています。一方、ヒレンジャクの項の記述は「…チリチリチリと鳴き、時にヒーヒーという声も出す」となっていました。(さらに、この後にフライキャッチをすることも書かれていました…さすが高野さん…)

  今日の観察では、「ヒー、ヒー」「チリチリ」両方聞こえ、ヒレンジャクがチリチリいうのを確認できました。さて、高野さんの言うようにキレンジャクはチリチリ言わないのか? また観察しに行く楽しみが増えました♪

  それにしても「キレンジャクだけの大群の観察中に「ヒー、ヒー」を聞いたことが一度もない」という記述…「キレンジャクだけの大群」を何度も見ている、ということですよね…私は、そんなもの、一度も見たことありません。見てみたいものです。

レンジャクの舞

3月16日(月)

 さいたま市桜区の公園にレンジャクが来ています。ヒレンジャクだけでなくキレンジャクもけっこういるよ、と聞き、出かけました。

  公園の駐車場で辺りを見回すと、先を行く同業者が。その後をついてゆくこと数分。小さな池の周りにいました、いました。鳥ではなく、カメラマンが。しかしシャッター音もしないし、皆さんリラックスしておしゃべりを楽しんでいる様子。鳥はいないのかな?と双眼鏡で見回すと、実だけを残したハンノキの上方に小太りの小鳥が1羽。いるじゃないですか!ヒレンジャクが!!…つまり、ヒレンジャクはもう飽きるほど撮れて一休み、または黄色待ち、という状態だったようです。

  赤いのを何羽か見ているうちに、黄色も出てきました。池を囲むハンノキの枝から飛び立ち、ひらりひらりと身を翻して、まるで空中を舞うように飛び、別の枝へ。この行動を盛んに繰り返しています。ヒヨドリも同じことをしています。フライキャッチ(空中を飛んでいる小さな虫を取る)をしているようですが、ヒタキ類のフライキャッチに比べると、ゆったりと優雅。翼や尾をいっぱいに広げたその姿は、羽衣をまとった天女、あるいはクリオネ。そんなものを連想させます。

   レンジャク類がフライキャッチをするのを始めて見たのは2007年3月、当時住んでいた神奈川県の相模川中流部で。ヤナギの新芽をつついたかと思うと、ひらりと舞い上がり翻って枝にとまる。これはどう見てもフライキャッチだと思って鳥仲間に話したら、信じてくれない人がいました。曰く「レンジャクは植物食でしょ。虫食べるなんて、ありえない」。しかし、その後、『BINOS 日本野鳥の会神奈川支部研究年報』第16号(2009年)に「相模川中流域で観察されたヒレンジャクのフライ&キャッチ行動」(金子精一、金子光江)というレポートが掲載され、私の見間違いでなかったことが証明されました。

 ところで、この公園では以前、レンジャクはヤドリギに集まっていました。昨年は、ヤドリギのあるポイントではほとんどレンジャクの姿が見られず、別の場所のキヅタに集まっていました。そして今年は虫(ジャノヒゲの実も食べているそうですが、私は見られませんでした)。要するに、その時・その場所によって、いろんな植物を食べたり虫を食べたり。「レンジャクは植物食」「レンジャクはヤドリギ」と決めつけられないですね。ちなみに今回見たヒレンジャクは、例のネト~とつながって垂れ下がるタイプではなく、普通の“う○こ”をしていました。ヤドリギを食べていないから?

本日は加田屋川

3月12日(木)

 今回は「見沼田んぼ」の東部、加田屋川周辺の調査です。コースは「思い出の里」(さいたま市営霊園)正面入り口付近から、遊歩道をたどって農耕地へ→加田屋川右岸→左岸→山下橋を渡って右岸に戻り、県道214号線まで。8時55分から10時10分までに24種、224羽をカウントしました。

 さえずっていた鳥はシジュウカラメジロホオジロ、ヒバリ。メジロのさえずりは今季初確認ですが、まだ、舌がよく回っていない感じでした。ヒバリのさえずりは4カ所で、昨年とほぼ同じ場所で鳴いていました。毎年同じ鳥なのかどうかはわかりませんが、縄張りになる範囲はだいたい同じようです。 

 昨日の芝川コースでは、出会ったムクドリのほとんどがペアで行動していましたが、こちらでは10羽前後が畑などで群れている姿が目立ちました。芝川コースとこちらの違いは、芝川の方が、宅地化が進んでいることです。相手が決まったムクドリは巣の準備を始めるために、家が立て込んでいる地域に移動するのでしょうか? それでも、群れの中になんとなくペアっぽいのがいるなこともありました・・・例えてみれば、サークルとか職場の仲間でスキーに行きますよね。グループ行動なんだけど、その中の特定の二人が、食事の時とかリフト乗る時とか、なんとなく、いつも一緒…ということ、ありますよね。そんな感じでした。

 芝川と違う点がもうひとつ。加田屋川は橋の工事をしているうえに、川岸の草がほとんど刈られています。そのため確認できた水鳥はダイサギが2羽だけ。草むらで食べ物を探す小鳥類もいません。芝川ではカルガモハシビロガモコガモ、バン、オオバン、草むらにはシジュウカラコゲラホオジロアオジオオジュリンと賑やかだったのと対照的に、「閑古鳥」状態でした。

  嬉しかったのはノスリに出会えたこと。それも、あるべき場所にちゃんと「ノスリマーク」を出してくれている“よい子”だったこと。カラス2羽のモビングをものともせず、青空を悠々と旋回していました。

芝川の鳥を数えています

2015年3月11日 水 晴れ 

 さいたま市の南から北へ、ちょうど鹿の角のような形に伸びている「見沼田んぼ」。東側には加田屋川と見沼代用水東縁、西側には芝川と見沼代用水西縁が流れ、田んぼこそほとんどありませんが、それぞれの川沿いにまだまだ豊かな自然が残されています。 

 東と西の「鹿の角」の真ん中に住んでいるので、芝川へも加田屋川へも徒歩30分ほど。東へ行ったり西へ行ったり、気ままに鳥を見ていましたが、2013年4月から、芝川と加田屋川でそれぞれ毎月1回、決まったコースを歩いて確認できた鳥の種類と数を記録することにしました。

 本日は芝川コース第24回の調査。大和田緑地~芝川第七調節池~芝川に出て左岸を上流へ~石橋~東武野田線~鷲山橋というコースです。9時にスタートして10時20分終了。見聞きした鳥は27種、総個体数200羽。まあまあ、多いほうです。さえずっているシジュウカラが増えました。カルガモコガモムクドリは、ほとんどペアで行動しています。きれいな繁殖羽になったハシビロガモ♂1羽、その傍らに、まだ換羽中のもう1羽(これも♂)が岸の日だまりで休息中。

 今日、いちばんたくさん鳥が集まっていたのは川岸の枯れた芦やオオブタクサの草むらでした。シジュウカラコゲラは盛んにオオブタクサの茎をつついていました。あの中にも虫がいるのでしょうか? 他にもスズメ、カワラヒワホオジロアオジオオジュリンなどが顔を出したり引っこめたり。アトリもまだ、いました。少し前までは30羽ほどいたそうですが、今日確認できたのは7羽。♂はすっかり夏羽で、真黒な頭がテカっていました。岸のネコヤナギも開花。春が進んでいます。

f:id:doroyon:20150311174730j:plain

芝川・鷲山橋付近の風景