鳥を記す

はじめまして。さいたま市とその周辺で、野鳥を中心とした自然観察を楽しんでいます。おもに鳥についてのブログになると思いますが、鳥の写真はありません。風景と植物だけです。

そういえば…

 ここのところ、マイフィールドでシメの姿を見かけていない。いつ頃からいないのかフィールドノートを調べたら、3月12日までは頻繁に記録されている。それ以降、出て来ない。ツグミはまだ、たくさんいる。一時期よりも増えた気さえする。ジョウビタキもいる。シメだけが消えてしまった。

 シメが渡るのは、こんなに早かっただろうか? 毎年のように、ゴールデンウィーク間近の眩しいほどの新緑の森で、嘴が鉛色になったシメを見ているはずだが…今年は何か異変が? と思って昨年のフィールドノートを引っぱり出してきた。

 なんだ、昨年も同じだった。3月後半には、シメの記録がないのである。そして4月1日には、再びシメが現れている。「シメが次から次にやってくる」と自分で書いたコメントを読んで、ようやくその時の記憶がよみがえってきた。さらに4月17日には「シメ多数。嘴が鉛色」と書いてある。やはり、新緑の森で、嘴が鉛色のシメを見ていた。

 この周辺で冬を過ごしたシメは、3月中には北へ飛び立っていたのである。そして、しばらくの空白期間の後、再び現れたのは、もっと南から渡ってきた群れなのだろう。この辺で鳥を見始めて5年になるのに、気がつかなかった。ちゃんと記録していて、よかった。でなければ、おっちょこちょいの私は、「今年はシメに異変が!」などと騒ぎ出していたかもしれない。

 

 人間の感覚や記憶は、あてにならないものだと、こういう時にしみじみ思う。それも仕方がない。すべての鳥に注目して生活しているわけではないのだから。そうだ、去年の今頃は、「レンジャクがたくさん来ている、しかも2色!」と大騒ぎだった。頭の中は、レンジャクをいかにしてゲットするかで一杯で、シメが減ったかどうかなんて気付く余裕がなかった。

 こういうことがあるから、「いつ・どこに・何が・どれぐらいいたか」という記録は大切である。蓄積された記録から、生き物たちの声が聞こえてくることがあるかもしれない。