鳥を記す

はじめまして。さいたま市とその周辺で、野鳥を中心とした自然観察を楽しんでいます。おもに鳥についてのブログになると思いますが、鳥の写真はありません。風景と植物だけです。

初“鳥”詣

 元旦には、マイフィールドへ鳥を見に行く。二十数年来の習慣である。これを「初“鳥”詣」と称している。さいたま市に越してからは、見沼自然公園とその周辺に出かけている。

 

 今年は少しコースを変えて、公園からすぐに見沼代用水東縁沿いの道に出た。センダンの実が朝日を浴びてきらきらしている。この前見たときは、鳥の姿はなかったのに、今朝はヒヨドリが十数羽集まっている。実が熟して食べ頃を迎えたのだろう。あしゆびで細い枝をしっかりと握り、体勢を整えて実をつつく鳥、キクイタダキのようにホバリングしながら実をつつく鳥。同じ種の鳥が同じ木の実を食べているのに、その食べ方が一羽一羽違う。

 代用水沿いに下流へ進むと、右手に農耕地が広がる。いわゆる「見沼田んぼ」であるが、今では畑のほうが多い。彼方に富士山が幻のように浮かぶ。きれいな青い空。タカでも飛ばないかな。飛べば初夢三役のうち二つが揃うのに。

 代用水沿いの道から外れて、鷲神社周辺の農耕地を歩く。高空を旋回するタカ1羽。翼の長さや幅と尾の長さのバランスからはオオタカのように見えるが、判定にはあまりにも遠い。「鷲」神社の上空にタカ。何の関係もないが、なんとなくいい感じである。もう少し近ければ…と思っていたら、背後からまた一羽。頭上をかすめるような近さであった。顔まではっきり見えた。眼の下に黒く太いヒゲ模様。ハヤブサだった。最近、ハヤブサはタカの仲間(タカ目)からはずされたが、あの鳥をタカではないとは言い難い。DNAがどんなに違っても、タカはタカであると思う。

 

 見沼自然公園に戻り、芝生広場に建つ「井沢弥惣兵衛為永」像にご挨拶。江戸時代に「見沼田んぼ」を開拓した人である。今、この辺で自然観察を楽しめるのは、この人のおかげかもしれない。1663年、紀州の生まれ。紀州藩の勘定方として土木事業で手腕を発揮した。1722年、8代将軍徳川吉宗に召し出され、幕府の勘定役となり、見沼代用水の開削、見沼新田開発などの大事業に取り組む。60歳からの第二の出発であった。60歳と言えば、21世紀の今日でも、定年を機に悠々自適の生活を始める人が多い、そういう年齢である。上からの命令に背くなどあり得ない時代だったとしても、凄い決断である。 <自分を必要とする場があれば、年齢にとらわれることなく、そこで活躍する> 難しいが素晴らしいことである。これを実行した為永に勇気づけられる…私も、そういう年齢を迎える。

 参考文献「見沼たんぼ見どころガイド 2015」さいたま市 見沼田圃政策推進室