鳥を記す

はじめまして。さいたま市とその周辺で、野鳥を中心とした自然観察を楽しんでいます。おもに鳥についてのブログになると思いますが、鳥の写真はありません。風景と植物だけです。

ムクドリたちの“約束の地”

   ひと月ほど前までは、あっちの家でもこっちの家でもギャーギャー、ジャージャーとムクドリたちが大騒ぎしていた。餌運びでてんてこ舞いの親鳥たち、メシよこせ、メシよこせと騒ぎ立てる子供たち。さらに成鳥4,5羽の群れが巣の周囲をうろつきだす。この連中と、巣の主たちとの関係はわからない。少なくともヘルパーではないらしく、ただでさえ気が立っている親鳥と、しょっちゅう小競り合いを起こしている。

この騒動が突然、静かになる。子供たちが巣立ちを迎えたらしい。すると今度は、近所の畑が賑やかになる。子供を連れた家族の群れが、畑で食べ物探しをしているのである。この騒ぎもやがて静まり、ムクドリのことなんか、ほとんど忘れてしまう。

 

 そんなある日。何の気なしに、川べりや広い芝生のある公園などに行くと、度肝を抜かれる。ムクドリの群れが100羽以上に膨れ上がっているのだ。近所の畑をうろうろしていた、せいぜい6,7羽の家族の群れが、次々に合流してゆくのだろう。家庭菜園に毛が生えたような畑では足りなくなって、食糧が豊かな“約束の地”へ。そういう場所には、同じような群れが四方八方から集まってくる。そして、一斉に飛び立つと「どぉぉ…」という羽音のどよめきが聞こえるような大きな群れになる。

 

 ひさびさに大宮第三公園に行った。広い芝生にムクドリがウヨウヨ、ウヨウヨ群れている。110羽まで数えたところへ、また一群が飛んできた。数えるのをあきらめた。群れには成鳥も幼鳥もいる。割合は同じぐらい、いや、ちょっと成鳥の方が多いだろうか。今年繁殖しなかった“あぶれ組”の成鳥も加わっているのだろう。幼鳥は相変わらず「メシよこせ」と親を追い回しているが、すでに自立しているのもいる。ひとりでひたむきに地面を突きながら歩き回っている。自立したといっても、どれが食べ物なのか、まだ分かっていないように見える。

 ところで彼らは、芝生で何を食べているのだろう。ムクドリの目線に近づくためにしゃがんでみた。一面の芝の中に、シロツメクサカタバミ。これらの種を食べるのだろうか? まだ花の盛りの時期で、人間の目では、種は見つからない。キノコも2,3種類生えているが、鳥はこんな低カロリー食品は食べないだろう。キノコは、必要十分なカロリーを取っても食欲が満たされない一部の特殊な動物が、“グルメ”とか“ダイエット” 、“健康”のために食べるものだと思う。見渡してみれば、虫もいない。

 結局、あの群れの食欲を満たしているものが何なのか、分からなかった。しかし、ムクドリの目線に近づいたおかげで、芝生にもいろいろなキノコが生えるということを知った。シロツメクサの花が、とても華やかである、ということも知った。

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