鳥の個性
舳倉島から帰ってきて3日後。今度は探鳥会に参加して三宅島へ行った。朝5時に島に到着してからほぼ半日で、アカコッコ、イイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ、カラスバト、コマドリ(亜種タネコマドリ)など、三宅に来たらぜひ見たい、という鳥は、ほとんど見てしまった。それでも飽き足らずに翌朝5時、探鳥会参加者24名のうち23名が鳥見に出かけた。
ただ一人、宿に残った女性は、庭の餌台に来る鳥を観察していた。餌台には、女将が毎日ヒマワリの種を置いている。それを目当てにヤマガラ(亜種オーストンヤマガラ)がくる。ヒマワリの種を手のひらに乗せて待っていると、飛んできて手にとまることもある。「やってみたら?」と女将に勧められ、この女性もヒマワリの種を手のひらに乗せてみた。そして早朝探鳥組が孵ってくるまでの間、とても面白い観察をしたという。
彼女の発見 その1 「餌台に来るのはヤマガラだけではなく、シジュウカラやカワラヒワも来るが、餌台で食べるのはヤマガラだけ」 カワラヒワとシジュウカラは種をくわえて飛び去ってしまう。
彼女の発見 その2 「手にとまるのはヤマガラだけ。で、面白いのはここからなのよ」 手にとまると言っても一羽一羽、とまり方がちがうそうだ。迷うことなく手のひらの真ん中にとまる鳥。ます指先にとまり、そこからチョンチョンと移動してくる鳥。他の場所にとまって散々迷った挙句、手に飛んでくる鳥。迷って、結局来ない鳥。鳥さまざまで、見ていて飽きることがなかったという。
“おみくじの鳥”ヤマガラである。野鳥の中では人に慣れやすい、ということには「間違いないだろう。しかし、その慣れ方に個性がある。おみくじの芸も、あっという間にマスターした優等生もいれば、結局覚えられずに逃げ出した、あるいは捨てられた子もいたのだろう。
「○○という鳥は、人に慣れやすい」というのが、その種の特徴のひとつだと思い込まれたために、不幸な目に遭った鳥も多いことだろう。鳥とのつきあいでも、思い込みはよくない。思い込む前にその種をじっくりと観察しなくてはならない。
宿に残ってヤマガラを観察していた彼女は、早朝探鳥でいろいろな鳥を見ること以上に、貴重な経験をしたと思う。
今回の三宅島は新しい船「橘丸」で行きました。以前の船よりも、甲板からの海鳥観察がしやすくなったと思います。ただし、船内で缶ビールを買う時には免許証が必要です!(タバコもナントカ?が必要だとか…吸わないので判りませんが)