鳥を記す

はじめまして。さいたま市とその周辺で、野鳥を中心とした自然観察を楽しんでいます。おもに鳥についてのブログになると思いますが、鳥の写真はありません。風景と植物だけです。

vs カケス

    <前回の続きです> オオタカのまねをするカケスにだまされてから数年がたちました。 彼らは毎年、秋になるとマイフィールドのあちこちに現れ、いろいろ怪しげな声を出します。しかし、この時季にオオタカの鳴きまねをしているのを聞いたことがありません。冬が過ぎ、春めいてくると「キッキッキッ…」「ピャァ」と始めるのです。まさに本物が鳴き始める季節です。この季節に、どこかで本物の声を聞いてきて、まねを始めるのでしょうが、オオタカを心待ちにしている立場としては、紛らわしくて困るのです。

 さすがに最近では、真贋が少しずつ分かってきました。鳴きまねには、ひとことで言えば「なんちゃって感」があるのです。もう少し具体的に説明しましょう。

① まずニセモノは声が小さい。本物に比べると、声量がないのです。

② 本物は「キッキッキッキッ…」と長く鳴き続けますが、ニセモノは「キッキッ」「キッ」など、すぐに止めてしまうことが多いように思います。

③ ♀の声と思われる「ピャー」のほうは聞き分けが難しく、ひと声だけ「ピャー」と鳴かれると、正直言って分かりません。しかし「ピャー」と鳴いているのが2羽以上いるようなら、ニセモノと思ったほうがいいようです。初夏、オオタカの幼鳥が育つ頃には、親鳥だけでなく幼鳥もこの声を出すので、ピャーピャーピャーピャーとけっこう賑やかなのですが、早春にはまだ幼鳥はいません。それでは、幼鳥がよく鳴く頃にはどう判別するか? ・・・その頃にはカケスはこの辺にいないので、だまされる心配はありません。

④ すぐに地声を出します。

…などと、聞き分けるポイントが分かってきたように思うのですが、それでも時々、迷います。本物っぽいけれど、一抹のウソ臭さがあるような、ないような…姿も確認できずに、結局、判定不可能でスゴスゴと退散することも、しょっちゅうです。

 

 早春のある日。数年連続で、オオタカが繁殖しているある森を訪れました。今年も来てくれるといいな、と期待しながら…しかし、そこは「オオタカものまね大会」の会場と化していました。しかし真贋を見極める努力なんか要りやしません。みんなヘタなのです。あっちでもこっちでも「キッキッ」「キッキッ」「ピャー」「ピャー」と、ヘタクソな連中が大騒ぎです。それも、かつてない賑わい。今年は特にカケスの飛来数が多かったのでしょう。しばらく聞いているうちに…「うるさいんだよっ」と怒鳴りたくなってきましたが、こいつらは北斗晶さんに一喝された恐竜のようには沈黙しないでしょう…いったん退散。 

  ちょっとコンビニへ行って、戻ってきてみると、オオタカヘタクソものまね大会はまだ続いていました。何故ここまで、オオタカの物まねにこだわるのか? 何の目的があるのだろう? 不思議です。 

 その時。「キッキッキッキッ」と、ひときわ大きく、朗々と響き渡る声。キーキーチーチーと鳴きだすメジロたち(メジロ、いたんだ。気がつかなかった)。ジェージェーギャーギャーと地声で騒ぎまくる大会参加者たち。冬枯れの木々の間を滑るように飛んできた1羽が、営巣木近くの枝にとまりました。ついに本物登場! 頭や背の青灰色が濃く、眉斑もくっきり。♂と思われる美形の成鳥です。この本物を前にして、敢えてものまねを披露しようとする勇気ある者は現れず、彼らはしばらく地声で騒いだ後、静まり返ってしまいました。延々と続いたものまね大会は、本物の登場であえなく閉幕となったのでした。

 やったね! その時は、長年私をだましてきた連中にひと泡吹かせたような気分になりました(と言っても、私は何もしていないのですが)。しかし、気が緩んだのでしょうか? 数日後、また同じ手口で、まんまとだまされました…模倣者たちとの抗争は、まだまだ続くことでしょう。

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